難しい症例を提示しますから、評価はいかがでしょう?。正直言って「上手イッ!」とは豪語できません。でも私は、ここまでできますと皆さんに見てもらいたくて、提示します。もちろん、短期結果だけでなく、見ていって下さい。
症例は他院のやり直し例で、「眼瞼下垂を指摘され、埋没法を受けて治したはずなのに、眼が大きくなっていない。」とのことで来院されました。「えゝ⤴、またそれ!?」っと困る私。「わたしブログ見ました。ここならなんとかできそうだから、診てください。」っと言われては、「診ていきましょう、頑張ります。」と言うしかないですよね。
さっそく診察と所見:眼裂横径は26㎜で、内眼角間37㎜と離れていてる。開瞼は7㎜、MRD2.5㎜で開瞼不良。LF=挙筋滑動距離は11.5㎜と先天性要素もあり得る。フェニレフリンテストをすると、かなり開くが、パチッとはしない。それに挙筋が強くなると、瞼縁が挙がる分皮膚の被さりが出来てしまう。これを見て患者さんは、「二重を広くしたい。」という。二本切開は目立つので、皮膚を取ればこうなるとシミュレーションしたら、「これこれ!」とせがまれました。
とにかく、目をパッチリにして欲しい。と訴えられても、出来るだけと答えるしかないケースです。眼頭切開で、抵抗力を除くことは必要だと説明し、皮膚は取ることになるし、挙筋はLT法だけでは効果不足なら、中で短縮するので、切開法をしましょうということになりました。
上図は手術前。確かに眼瞼下垂です。埋没による二重も弱く、蒙古襞が突っ張っているため眼の窓が内側が細く、目頭が引っ張られて下方にあるため、つり目になっています。
上図の如く、デザインします。重瞼線は前回のライン=中央で5㎜とします。眼蓋のカーブに沿って引きます。下の線がそれです。幅最大3㎜の皮膚切除をします。上の線がそれです。私は通常は20歳代の症例では、皮膚は取る必要は無いと思っていますが、先天性眼瞼下垂で長年眉を上げて眼を開いてきた人は、年齢の割に皮膚が伸びてしまっているからです。切除幅は目頭から目尻までほぼ等幅とし、目尻はすぼませますが、目頭へはそのままの幅で、目頭切開のZ形成の上辺につなげます。目頭切開は一辺4.5㎜のZ形成術=これは前回図示しましたよね。
上図は、手術直後です。やはりというか、開瞼はLT縫縮だけでは、満足な開瞼が得られず、念のため、挙筋腱膜中央を瞼板に縫合しました。これには、調節が必要で(強すぎても弱すぎてもする意味が無い。)2回ずつ掛け直しました。おかげで、30分近くの時間が追加されました。おかげで腫れましたし、患者さんは疲れて、目をしっかり開けません。私も2つの手術を同時に行ったので、疲れてしまい。もう写真はこれでという事にしました。でも、やるだけの事はしたと思います。術中にはしっかり開きました。
左図は1週間目の抜糸時です。腫れはまだ残るのですが、開瞼は得られたようで、「視界が広がった。」と、患者さんは悦んでいました。左瞼には内出血が生じたため形がよく判りませんが、開瞼がオーバーかも知れません。この程度のオーバーコレクションは機能的に、修正されます。
1週間目の結果ははいかがでしょう?。目頭の位置が上方移動して、つり目から可愛い系の目の窓に形成できました。(可愛い系の目=アーモンドアイとかグラマラスアイとか言う手術は、後日説明します。)開きはまだまだですが、腫脹の軽快と共に改善する筈です。二重もだいたい2/3くらいのちょうどいい幅になる筈です。ここらへんは筈でなく、切開法の症例の多い、私共の経験値からして、経過は予定通りになる自信ががあります。
この経過は、正直な症例です。予想通りです。他院の再手術であり、眼瞼下垂は軽度ではない。二重は控えめではないが、広すぎない。目頭が必要。目尻を越えて弛みが存在する。等々と言い訳みたいですが、これだけの手術をした症例では予想通りの経過です。
切開しなければ良好な結果が得られない症例は、少なからずあります。詳しい適応は、またの機会にしますが、今回の症例はその典型です。チェーン店系で、美容整形屋。形成外科系でも、若輩で経験の浅い医師。彼らはもうける事しか考えていませんから、だまされて埋没を受けたり、切開しても挙筋の形成がされていない症例は多いのです。私共に掛って、はじめて適正な方針が立つ事があります。切開法の重瞼術と挙筋前転術を、必要に応じて対応できる美容形成外科医療機関はまだまだ少数です。今回の症例にはこの方針が適切だと思いますが、ダウンタイムは2週間かかります。症例によるので典型的ではありません。でも、切開法は通常でも1週間はかかりますよ。一生のいい形態を得る為には必要だと認識して下さい。今回1週間目ですが、先走って提示します。
来週には2週間目で、内出血が消失し腫れも見えなくなるでしょう。「楽しみです。」と、言いながらお帰りになりました。私も「楽しみですね。うまくいって良かったですね。」とねぎらい、このブログを書き始めました。メデタシメデタシ!、それは来週に言いましょう。